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chapter:2 3 4 5

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-生命のしらべ
「旅人と獅子の狭間で
盗賊は世界から何を盗めるのか」

クリスタルを求め、世界を奔走する盗賊――ジタン。

ひとりの道を選んだスコールと別れ、
彼は、バッツと共に胸おどる冒険を続けていた。

旅する二人に、いま、
強き絆を断ち切ろうとする死の旋律が迫る。

試練を乗り越えた時、彼は
真の宝を見つけられるのか――

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クジャ:「嘘だ……
そんなこと……!」
アルティミシア:「いいえ 残念ながら真実です」
あなたは 偽りの器にすぎないのですよ……」
クジャ「……僕を見下すな!
……見ているがいい
僕は誰よりも完璧に 計画を遂行する
そして証明してみせるさ……
キミたち以上の存在だってことをね!」

アル「……哀れな子
まあ 能天気なサルの相手には
ちょうどよいのかもしれませんね……」

ジタン:「なぁ バッツ 勝負しないか?」
バッツ:「勝負?」
「ああ 先にクリスタルを見つけたら
勝ち ってのはどうだ?」
「お宝探しか 余裕でおれが勝つな!」
「おっと? こっちは本職の盗賊だぜ」
「なら おれは盗賊のモノマネで
勝利を盗んでやる!」

「(ふふっ)」
「(へへっ)」

「お宝は―― こっちだ!」
「おれも―― こっちだ!
行くぜ行くぜ〜!」
「マネするなよな〜っ!」

(フィールド)

「……ん?」
「どうした ジタン?」
「いや…… なんでもない
さあ 盗賊の技ってのを 見せてやる!」
「負けてたまるか!」

(……なんだろう
心が…… 波立ってる?)

「へへっ 先に行くぜ?」
「おーい!
っと ちょっと待てってば」

△上

「生命のしらべ」 DESTINY ODYSSEY:9-2
物事を真摯に受け止めることの難しさ
その難しさを理解している者のみが
危機を乗り越えることができる……

ガーランド:「感心せんな……
人の心を弄ぶなど 下賤な者のやることだ」
アル「クジャのことですか?
彼には真実を伝えたまで……
おかげで 役に立ってくれるそうです
サルを捕らえる策を いろいろと練っているようですよ」
ガー「小手先の甘い考えで 捕らえられるほど
奴らは甘くないと思うがな……」
アル「さて 我々も出かけましょう……
孤高の獅子が 罠にかかりに来ています」

ガー「……くだらぬ策に囚われているのは
わしもまた同じ…… か」

(フィールド)

「バッツ 周りをよく見ないと 足元すくわれるぞ!
目先の相手だけに気を取られてると
いつまでたっても 先に進めないからな」
「少しくらい迷ったっていいさ
あてのない旅は得意だ!
目の前の敵を倒していけば
いつか どっかにたどりつくって!」
「……アイツ 大丈夫かな?」

「ふう…… そろそろ何か見つかっても
いいと思うんだけどな」

「なんだ あれ?」
「もしかして――
クリスタルか!?」
「あっ このっ!」

「あれ―― バッツ!?
どこ行ったんだよ お〜いっ!」

ケフカ:「これはオカシイ――
サルが残って いらない
ネズミの方が 消えちゃった?」
「(はあ?)」
ケフ「ま いいでしょ (フン)
これはこれでおもしろくなる」
「おい! おまえのしわざなのか?
バッツをどこにやった!」
ケフ「(かー)
まったく ウルサイですねえ――
ワナにもかかれないサルは黙ってろ!」
「(――…)
バッツの居場所
意地でも吐いてもらうぜ!」

(クリア後)

「さあ 観念しろ
バッツをどこへやったんだ?」
ケフ「(ホワーッホホホ)
ネズミなら 敵陣の
ド!
真ん中! (アッハフフ)
無理だと思うけど
せいぜい探してみれば」

「――バッツ!
(――ッ) 今 行くからな!」

△上

「生命のしらべ」 DESTINY ODYSSEY:9-3
天高くそびえたつ城……
その力は戦士にとって
新たな勇気のありかたを形作るだろう

クジャ「キミのおかげで計画は台無しだ
どうしてくれる?」
ケフ「おやおや…… 意地になっちゃってる?
新参者なんだから そう遠慮するなよ〜」
クジャ「……黙れ
僕をバカにするな!」
ケフ「やだやだ…… ご機嫌ナナメ?
今いいとこに案内するから 怒らないで〜」
クジャ「……フン 付き合うだけ付き合ってやる
きっと まだ手はある
最後に 僕の足元にひざまずくのは
あいつらの方なんだ……」

(フィールド)

「くそっ……
オレがもっとしっかりしていれば……
……いや 悔しがるのは後でいい
今はとにかく バッツを探すんだ!」

「うおっ! なんだこれ?」
アレクサンダー:「私は…… 聖王
私を畏れよ…… 私を崇めよ……」
「力になってくれるのか?
なら ありがたくムネを借りるぜ!」

「私は一頭の羊に率いられた
ライオンの群れは恐れない
しかし一頭のライオンに率いられた
羊の群れを恐れる……」

「おーい バッツー!
……どこにいるんだ?」

「どこ行ったんだ
バッツのやつ――」

スコール:「ひとりではないと信じているからこそ
ひとりで戦う道を貫く!」

「スコール?
あいつ――!」

「証明してみせる
離れていても ともに
戦っていることをな!」

「(フッ!)
かっこつけすぎだろ スコール!」
「ジタン!
どうして?」
「誰かを助けるのに理由がいるかい?
でっかいおっさんは オレにまかせな!」
ガー「迷いなくわしを選ぶとは――
舐めたものだな 小僧」
「レディと戦うのは気が引けてね
ていうか 自分の心配したらどうだい?」

(クリア後)

ガー「(ハッハッハ)
腕ならしにはちょうどよい
楽しませてもらったぞ!」
「ちぇっ――
あいつ ピンピンしてらぁ」

「スコール!」
「ジタン 借りができたな」
「気にすんなって――
とか言ってる場合じゃない!
大変 大変なんだよ!
バッツが―― バッツが!」

「バッツの奴
敵の罠に落ちるとは――」
「悪い お互い張り切り
すぎちゃってさ」
「気をつけろ 向こうにはおまえを
狙ってる奴もいる」
「こっちだって狙った獲物は逃がさない
すぐにバッツを助け出してやる」

「この光を追えばきっと――」

△上

「生命のしらべ」 DESTINY ODYSSEY:9-4
一瞬の油断が
戦士を独演の舞台へと誘う……
これは戦いなのだ

「まだ 礼を言ってなかったな……
さっきは助かった 感謝している」
「この調子で バッツのことも
サクッと助けてやれると いいんだけどな」
「ああ おまえならできるさ
きっと……」

「……光が強くなってきた!
バッツが近くにいるのか?」
「この先か?
よし 行くぞ!」

(クリア後)

「バッツ! さがしたぞ!」
「ジタン! スコールも来てくれたのか!」
「平気そうだな」
「いや〜 強そうな奴らがいっぱいでさ
っと それより 見ろよ!
あいつらから奪ってきたんだ
勝負はおれの勝ち!」
「(ふふっ) なんだよ さんざん心配かけといて――
ちゃっかりしてんなあ!」
「待て! これは――!」

「ジタン!?」

クジャ「(フッハハハ)
ようやく会えたね」
「クジャ!」
クジャ「キミの友達はいい駒だ――
疑いもせず キミに罠を届けてくれたよ」

「全部おまえのしわざか――
オレの仲間はどこだ!」
クジャ「この状況で まだ他人(ひと)の
心配をするのかい?
――ゾッとするよ」
「答えろよ」
クジャ「ひとりは不安かい?
守るべきものがすべて消え去ったら
キミはどうする?」
「なにっ!」
クジャ「(フン) 同じ運命を背負うものとして
試してみたかったんだ
自分の無力さを知った時
キミの心が どう砕け散るのかを」
「クッ――」
クジャ「仲間が傷ついても
今のキミには何もできない
囚われの小鳥のように カゴの中から
友の悲鳴を聞くだけ――」
「黙れ!」
クジャ「キミの独演 ゆっくりと
眺めさせてもらうよ」

「みんな――」

△上

「生命のしらべ」 DESTINY ODYSSEY:9-5
彼は歩みを止めない
その場所が彼にとって
いつか帰る場所なのだから……

ガー「焦っているな…… クジャ」
クジャ「またキミか ガーランド……
どうせ僕のことを 見下しに来たんだろう?」
ガー「……そうではない
わしと おまえは同じ存在……
いや わしだけではない 皆同じなのだ
……あの魔女 アルティミシアすらもな
我々は 同じ運命を背負った同志
生まれたばかりのおまえは 付け入られたのだ」
クジャ「……皆同じだって?
そういうこと…… だったのか
クッ…… クククク……
アハハハハハハハハ!!
……ようやくわかったよ
僕がキミたちに劣る理由なんて
少しもないってことがね!
見てるがいい
フィナーレを勝利で飾るのは…… この僕だ!」

(みんな―― オレ どうしたらいい?)

「(くっ) デートなら またにしてくれよ」
コスモス:「ジタン 恐れないで」
「だけど オレ――
あいつらに 何もしてやれないんだ」
「どんな状況でも できることはある
そうでしょう?」
「でも もう手遅れかも――」
「仲間は あなたを信じている
あなたが負けるとは 思っていない
あなたも彼らを信じて」
「みんなを 信じる――」
「あなたの仲間は 強い」
「うん―― そっか
簡単にやられるやつらじゃないよな
みんなの無事を確かめに行くよ
それが 今のオレにできることだ!
ありがとな コスモス
レディを勇気づけるのがオレの役目なのに
かっこわるいとこ見せちまった」
「その優しさが あなたの――
(強さ――)」
「コスモス!」

「オレ もう迷わないよ」

(フィールド)

「さあ 帰ろう
オレを信じてくれる 仲間のもとへ!」

「……誰が相手でも
この心はもう 止められないさ」

「クジャ そこをどいてくれ」
クジャ「キミに道は必要ないだろ?」
「仲間のところに帰るんだ」
クジャ「なぜ あきらめない?
ひとりがそんなにイヤなのかい?」
「信じてるからだ」
クジャ「信じる? 他人を?
仲良しごっこにすがるていうのか?」
「信じる気持ちは
遊びなんかじゃない
おまえにだって 仲間がいるだろ?」
クジャ「仲間?
僕をあんな下賤な連中と
一緒にするな!」
「でも――」

クジャ「(ハー)
失望したよ
救いのない悲劇を
楽しもうとしていたのに――
とんだ駄作だ
(フッハハハ)
こんな愚かしい戯曲には
終止符を打たなくっちゃ――!」

クジャ「僕が奏でてあげるよ
キミのレクイエムを!」

クジャ「(フッハハハハ アハハハハ)」
「うるさい曲だな!」
クジャ「まだ第一楽章だよ?」
「わかってるさ!
クライマックスは――
これからだ!」

(クリア後)

「あいつらがいる限り 負けるわけには
いかないんだ」

「なあ クジャ――
誰かを信じるって
そんなに難しいことか?」
クジャ「他人を 信じて―― 何になる?
ひとりで何もできないから――
集まるんだろう?」
「信じてれば 自分の道だって見えてくる」
クジャ「雑音だ! 耳障りだよ――!
認めないよ
終幕の時 喝采を
浴びるのは僕なんだ――」

「クジャ――」

「あれって――
おーい!」

(信じて 待っていてくれる人がいる――
だからオレは どんな試練にも
立ち向かえるんだ
今までも そして これからもきっと
帰ろう いつか帰るところへ)

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哀しき宴の果て、彼は宝を手にした。

恐れを勇気に変える力――
それは仲間へのゆるがぬ信頼。

たとえ世界が絶望につつまれようと
この輝きは失われることはない。

想い溢れるクリスタルを追いかけ
いま彼は仲間の名前を呼ぶ――

△上

Another Episode:
クリスタル……希望という光は
闇に潜むものも照らす。
光に包まれることはないと知りながら
その輝きに手を伸ばさずにはいられない……

セフィロス:「光が懐かしいか?」

ゴルベーザ:「(フン)
私には なすべきことがある」
セフィ「輝きに近づくあまり
その身を焼かれぬことだ」