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-宿命
「仲間と歩んでも見いだせない心
やがて試練は影とともに訪れる」
深き宿命をその大剣に背負う戦士――クラウド。
クリスタルを求める旅の途上、
彼は、フリオニール、セシル、ティーダとともに行動していたが
その瞳は、いつもひとり、先を見つめていた。
戦いの先に待つものを探して――
神の望む光を手に入れ、彼は己に潜む影を
打ち消すことができるのか。
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皇帝:「……奴は何を知っている?
何が目的なのだ……」
ケフカ:「気にすることないね
今のあいつは人を見下すだけのサディストだよ」
皇「セフィロス…… 奴は自ら命を絶ったのだ
先の戦いの終わり 私の目の前でな……」
ケ「バカな?
そんなことして何の意味がある?」
皇「何か思惑があるのかもしれぬ
慎重にことを運ばねば……」
(フィールド)
クラウド:「なぜだ…… 何かに呼ばれている気がする
クリスタル……?
いや、もっとまがまがしい何かだ……」
ク「どこも敵ばかり……か
俺はずっとこのまま戦い続けるのか……?」
(クリア後)
セシル:「どう? クリスタルの手がかりは?」
ク「いや 何も」
ティーダ:「世界を救う希望 クリスタルか
どうすれば見つかるんッスかね?」
フリオニール:「もっと戦えばいいんじゃないか?
敵を片っ端から倒していけば――」
ク「何もわからない以上 無闇に戦うのは危険だ
すべての戦いに勝てる奴など そういない」
テ「ちゃんと休むのも 戦いのうちか」
フ「確かにそうだな」
セ「(ああ) クラウドがいると助かるよ
状況を冷静に判断してくれる」
テ「セシルも見習うといいぞ!」
フ「お前が言うな!」
(笑い声)
フ「俺たちも負けてられないな」
ク(冷静?
いや そうじゃない
俺はきっと――)
△上
「宿命」 DESTINY ODYSSEY:7-2
何故 何のために戦うのか
戦士は戦士であるが故に
一人静かに自問自答を繰り返す――
セ「敵が増えてきたね
体力を温存して戦わないと……」
ク「相手の行動をよく見るといい
攻撃の後に必ずスキができる
この辺のイミテーションはさほど強くない
熱くなりすぎて 自分を見失わないことだ」
テ「わかったか? フリオニール」
フ「ああ…… クラウドの冷静さがうらやましいよ」
ク(……冷静なんかじゃない
俺は……きっと恐れているんだ)
テ「やるなあ クラウド……
よし オレと勝負するッスか?」
ク「……遠慮しておく」
(クリア後)
テ「それにしても
クリスタルって何なんッスかね?」
セ「クリスタルさえあれば
カオスを倒せるのかな」
フ「それがコスモスの望みなら
俺たちが果たすまで」
ク「俺たちは 何のために戦っている?」
フ「何のためって―― カオスを倒し
世界に平和を取り戻すためだろう?」
ク「コスモスはクリスタルを
集めろと言っただけだ
カオスを倒せば
平和になるという保証もない
世界がどうなるかなんて
誰にもわかりはしない」
テ「とにかく 信じればいいッスよ!」
フ「わからなくても 今は戦うべきじゃないのか?」
ク「俺は―― 納得したいんだ
何のために戦うのか
答えも見えぬまま 流されたくはない」
セ「クラウド――」
ク「おまえたちはどうなんだ?
こんな状況でも
戦える理由があるなら教えてほしい」
セ「戦う理由―― そんなの
ちゃんと考えたことなかった」
テ「オレは オヤジとの決着だ!
けど それは個人的な問題だしなあ」
ク「ティーダは それでいい」
フ「少し 考えさせてくれないか
俺はクラウドが
納得できる答えを見つけたい」
ク「(ああ)」
ク(答え か――)
△上
「宿命」 DESTINY ODYSSEY:7-3
殻の中で 何かを求め続ける闇……
その力は戦士にとって
新たな勇気のありかを形作るだろう
テ「おっ!
お宝がたくさんッスね」
ク「ああ 神々の残した強い力だ
手に入れておくといい」
セ「これからも宝箱は散り逃さない方がいいかもね」
ク「いや そうとも限らない
勝ち目のない強敵には 手を出さない方が賢明だ」
テ「そうそう 無駄に重い剣を振り回しても
疲れるだけッス」
ク「……重くはない 大切な剣だ」
ク(流れずに戦える『強さ』さえあれば……
俺はもう……何も失わずにすむはずなんだ)
セ「……っと疲れたかい クラウド?
この辺りで少し休もうか?」
ク「いや 問題ない……
考え事をしていただけだ」
マジックポット:「エリクサーちょうだい!」
ク「……そんなものはない」
マ「だったら くれるまでついていくよ!
オイラを身につけたら いいことあるかも!」
マ「ボクはあいつと違うのさ
呼ばれた時に出てきてあげる!
殴られてから ヒョイっと使えば
ラク〜に相手を倒せるかもね!」
フ「……なあ クラウド
おまえはどうして戦士になったんだ?
戦う道を選んだ以上
何か理由があったはずだろ?」
ク「戦士になったら…… わからなくなった
だから今は答えを求め続けている」
フ「答えさえわかれば……
何かが変わるのか?」
ク「……少なくとも
戦い続けることはできるはずだ」
フ「戦う理由 しばらく考えてみた
だが 言葉にするのはなかなか難しいな」
ク「そうか」
フ「ひとつ思いつくとしたら――
やはりこいつか」
ク「それは?」
フ「『のばら』だ
ずっと見たかった景色があるんだ
俺はそのために
この戦いを終わらせたい
ま 今のところ夢みたいな話だけどな」
ク「夢?」
フ「ああ 夢をあきらめたくないんだ
それがあるから 俺は戦い続けられる」
ク「フリオニール――
俺と戦ってくれないか?」
フ「え?」
ク「知りたいんだ
それだけで本当に戦い続けられるのか?
夢の強さ というやつを」
フ「しかし――
わかった 受けて立とう」
(クリア後)
フ「まだ―― 終わっていない!」
ク「大したものだ」
フ「言っただろ 夢を――
あきらめない―― と」
ク「ああ だが
俺はおまえにはなれない」
フ「なぜだ?」
ク「探しても見つからないんだ
夢を持たない俺は どうしたらいいと思う?」
フ「(あ……)」
ク「すまない 困らせるつもりはなかった」
ク(俺の求める答えは――
ここにはないのかもしれない)
△上
「宿命」 DESTINY ODYSSEY:7-4
夢とは……
生ある者の希望 そして叶える者の苦しみ
誰であろうと その権利は等しい
セフィロス:「ガーランド……
お前には目覚める前の記憶があるか?」
ガーランド:「……何が言いたい」
セフィ「過去の記憶を封じられるというのは
よくある話だ
奴を見ていると
不意に考えてしまうのだよ
命とはすべてを知って生まれたにも関わらず
わざわざそれを封じて生きているのでは とな」
ガー「……」
セフィ「ひとつ…… 聞きたいことがある
私はこの世界で目覚めた時
神々しく輝く流の姿を見た…… あれは何だ?」
ガー「……わしなら
答えを知っていると思ったのか?」
セ「クラウド
フリオニールから 答えはもらえた?」
ク「ああ――
あいつには夢があるらしい
それを叶えるまで
あきらめず戦い続けると」
セ「フリオニールらしい答えだよね」
ク「聞いたのか?」
セ「恥ずかしがって なかなか
教えてくれなかったけど
彼は のばらの咲くいつまでも
平和な世界を作りたいんだって」
ク「子供みたいな―― 夢だ」
セ「だからこそ あんなにまっすぐなんだよ」
ク「星にでも 願ったのかもな
セシルはどうだ?」
セ「僕も クラウドの望む答えはあげられそうにない
でも どこかに答えを
知っている人がいるかもしれない
探しにいってみたらどう?」
ク「しかし――」
フ「行ってこい クラウド」
ク「おまえたち」
テ「応援するッスよ!」
ク「本当にいいのか?」
フ「ただし――
答えを見つけたら 俺たちに
ちゃんと教えるんだぞ」
ク「わかった 約束する」
ク「俺にとっての答え……
知っている奴を必ず見つけ出してみせる
そうすれば俺はあいつらと一緒に
新しい道を……」
(クリア後)
セフィ「久しぶりだな クラウド」
ク「セフィロス――」
セフィ「なぜ私と戦わない?」
ク「あんたと戦うことに何の意味がある
これ以上 意味のない戦いはしたくない」
セフィ「では意味さえあれば
おまえは誰とでも戦うのだな?」
ク「違う! 俺はただ戦いに
納得できる理由が欲しいだけだ」
セフィ「まるで人形だな」
ク「何?」
セフィ「おまえに意味を与えてやろう
夢など 摘み取るのはたやすい
哀れだな こんなものにすがり生きるとは」
ク「これは―― フリオニールの?」
まさか―― あいつらに何をした!?」
セフィ「これで理由ができただろう? 私を追うがいい」
ク「(……くっ)」
△上
「宿命」 DESTINY ODYSSEY:7-5
何故 何のために戦うのか
自問自答を繰り返す戦士に与えられた理由
選ぶのは誰なのか……
ク(クッ…… また俺は見失ったまま
誰かを傷つけるのか……?)
ク「どいつだ……? どの敵を倒せば
セフィロスのもとへたどりつけるッ……!」
ク「くッ…… 邪魔だ!」
セフィ「やはり来たか
追えと言われれば
素直に追ってくるのだな」
ク「何?」
セフィ「流されまいとして戦う理由を
求めているようだが――
おまえは求めるだけで
自分から見つけようとはしていない
だから 人から与えられた
理由に喜んで飛びつくのだ」
ク「何が言いたい」
セフィ「あの連中は 傷つけられても
クリスタルを求め続ける意志がある
だがおまえはどうだ?
自分では何も決められない
流されるだけの人形だ」
ク「違う 俺は――」
セフィ「これからも私が理由を与えてやろう
おまえの望むままに」
ク「黙れ!
与えられるだけの理由はもういらない
ここに来たのは俺自身の意志だ!」
セフィ「思い出にすがるだけのおまえが何を言う」
ク「(くッ……) すがっているのはどっちだ!」
ク「セフィロス!
あんたはここで――
眠ってくれ」
セフィ「受け入れろ
おまえを導くのは――
私だ」
セフィ「絶望を望むならば――
贈ろうか クラウド?」
ク「俺の願いは――
自分で見つける」
セフィ「人形だな おまえは」
(クリア後)
ク「これが―― クリスタル」
セフィ「おまえの見つけた絶望でもある
手にすれば これから
さらなる戦いに巻き込まれるだろう」
ク「それが 俺の宿命なら
俺は―― 俺の現実を生きる」
セフィ「(ふん) いいだろう
輝きを見るたび 思い出せ
私の導きで手に入れたことを
私は 何度でもおまえを導こう」
ク「道は 俺が決める」
ク(迷いがあっても――
あいつらと約束した俺自身の
答えを見つける その時まで
俺は 戦い続ける)
ガー「……奴は何も失っていない
むしろまた一歩真実に近づいたようだ
セフィロス…… 奴はおまえの計画に
厄災をもたらす存在になるかもな……」
皇「……この世界に真実など存在しない
いや あるいはこうとも言える
今ここにいる 我々こそが
真実そのものになりえるのだと」
ガー「皇帝よ…… おまえは繰り返される
神々の物語すら書き換えようというのか?」
皇「ああ…… 誰のものでもない
新たなる神話を創造するのだ」
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手にした輝きは、今は小さな光かもしれない。
だが、ひとつひとつ答えを探していくことで、
クリスタルは、その輝きを増していく。
戦い続けることを決めた戦士の誓い。
仲間との約束が果たされるその時まで、
彼の戦いは終わらない。
宿命に刻まれた、彼の旅はこれからも続く――
△上
Another Episode:
クリスタルを求める
戦士たちの物語は、ここから始まる。
そして、混沌に与する者たちの物語もまた……
アルティミシア:「時が来れば すべて実る
究極の死闘――」
皇「そして 完全なる終焉
掴めぬものがあるとすれば――
神の気まぐれくらいか」
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