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chapter:2 3 4 5

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-誰がための力
「人を惑わす魔導の力
少女はただ その意味を知りたかった」

魔導の力を宿した少女ティナ。

彼女は、「オニオンナイト」の称号を持つ少年とともに
クリスタル探求の旅を続けていた。

少年はすでにクリスタルを手に入れていたが、
ティナにはその時の記憶がない。
ひとときの眠りから目覚めた少女に、少年は多くを語ろうとしなかった。

真実は、いまだ眠りについている。
ティナの身に宿る、強大な魔導の力とともに――

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オニオンナイト:「何か心配事?」
ティナ:「風が やんだの
敵の動きも みんなの気配も
感じとれなくなった
こんなこと初めてで
でも大丈夫だから 私のことは――」
「守るから」
「え?」
「ティナのことは僕が守る 約束するから」
「(…ふふっ)」
「どうかした?」
「ううん
いつのまに そんなに騎士らしくなったの?
ちょっと前までは もっと生意気だったのに」
「やっぱり 覚えてない?」
「え?」
「いや ならいいんだ
ほら 先を急ごう」

(なぜだろう―― 目覚めて以来
大事なことを 忘れてしまっている気がする
けど それが何なのか
どうしても思い出せない
なぜ 眠っていたのかすらも)

「ティナ 置いていくよ」
「あ―― うん」

(でも いつか取り戻せるはず
そうすればきっと クリスタルへの道だって――)

(フィールド)

「敵がたくさん……」
「全部を倒す必要はないよ
無用な戦いは さけていこう」
「そうだね…… がんばろう」

「……!」
「ティナ どうかした?」
「……誰かの視線を感じたの
強い悪意に満ちあふれた目……」

△上

「誰がための力」 DESTINY ODYSSEY:6-2
秘められし強大な力
そして 運命に翻弄される少女……

皇帝:「カオスとコスモスの駒は 不変ではない……
あの娘が それを証明してくれた」
ガーランド:「もし 内なる光の よりどころを見出せねば……
再びカオスの駒となるかもしれぬな」
「滑稽だ…… あのような道化の手によって
再び 空虚な器となる…… か」
ガー「道化も おまえと同じ策士だな……」
「……フッ 同じではない
私は逆の可能性を追うのだ
完全なる終末を逃れ……
新たなる未来を築くためにな」

「さっきはありがとう」
「え?」
「私のこと 励ましてくれたでしょ
本当はね 少し怖かったの
みんな がんばっているのに
私だけ何もできていないから
まっすぐ進めない自分が もどかしくて
クリスタルを手に入れたら
私も変わるのかな」
「そうじゃない
変わったから 手に入ったんだ
ある人が教えてくれたんだ
『クリスタルは決意の先に輝く』って
だからティナも 自分のいちばん
強い気持ちに従えばいいんだよ」
「いちばん強い気持ち?
まだ わからないかも」
「ティナ――」
「でも やってみる
あなたみたいに 私も
望みを捨てないで
進み続けていれば きっと」
「ティナなら絶対見つけられるよ
僕の予想は よく当たるんだ」
「(ふふっ)
頼りにしてる」

(フィールド)

「ティナ 気をつけて
戦う前に 敵の装備をよく確認するんだ」
「……フフっ」
「な…… なんだよ」
「……ううん なんでもないの
さあ 先に進もう?」

「……気配がする」
「え?」
「さっきからずっと……
まるで 私たちを試しているような……」

(クリア後)

ケフカ:「いいものを見せてもらいました
さすがは僕のお友達 見事な壊しっぷり!」
「ケフカ――!
何をたくらんでいるの?」
ケフ「力を確かめに来たんだ
やっぱりおまえはカオスに
仕えた方が心地いんじゃない?」
「どういう意味?」
ケフ「おやおや 何も覚えていない!
なら 教えてあげましょう
おまえは その力で大事な仲間を――」
「やめろ!」
ケフ「あれれ? 傷つけられた本人が 何言ってんの?」
「(くっ)」
ケフ「美しき友情なんて―― やめて
ウザったらしくて 反吐が出る!」
「それは どういうこと? まさか――」
ケフ「ピンポーン その ま さ か!
おまえはそこにいる仲間を
ギタギタに痛めつけたんだ
あんなに楽しそうだったのに 忘れるなよ
(ふふっ ファーはっはっは)
まったく危険な存在ですねえ
戦えば戦うほど 自分で力が抑えきれなくなる
力が心を超えて暴走する 破壊の化身めが!」
「嘘っ――」
ケフ「嘘っ―― じゃないよ
ほーら 敵はここにもいる
(は ま ち! あはっ)
どうした?
破壊の力 もっと見せちゃいなよ!
敵も味方も世界も
ぼくちんと一緒にゼーンブ壊そう ぶっ壊そう!」
「私――」
「(くそっ!)」
ケフ「(ギョッ!)
何を?」
「僕が相手をしてやる!
ティナは逃げて!」
「でも――!」
ケフ「黙っていれば こんのー!」

「そんな どこに行ったの?
探しに行かなきゃ でも――」

△上

「誰がための力」 DESTINY ODYSSEY:6-3
全てを拒む壁……
その力は少女にとって
新たな勇気のありかたを形作るだろう

ケフ「ちくしょう…… ちくしょう……
ちくしょう ちくしょう
ちくしょう ちくしょう
ちく ちく ちく ちく ちく ちく
ちく ちく ちく ちく ちく ちく
ちっっっっくしょ――――!!
せっかく うまくいきそうだったのに!
いつも いつも いっつも 邪魔しやがって!!」
「……おまえこそ 何が目的だ!
なぜティナに まとわりつく?」
ケフ「はぁ? 正義の味方のつもりですか〜?
まがい物が つまらん正義感ふりかざしやがって!」
「……まがい物?」

(フィールド)

「……どこに行っちゃったの?
ひとりはイヤ……
彼がいないだけで こんなに心細いなんて……」

「あなたは……?」
デモンズウォール:「未知の領域に 踏み入れようとする者よ……
戸惑いのとき 私が心の障壁となろう」

「聖宝を守ってきた魔壁として
貴様と共に行ってやろう
クックック 頼むぞ……
せいぜい獲物を呼び込んでくれ」

「……?
なんだろう
体が 少し熱い……」

「なんとか倒せた―― けど」

ケフ『あんなに楽しそうだったのに
力が心を超えて暴走する 破壊の化身めが!』

「私は破壊を望んでなんか――
これは!? (きゃあっ)」

(体が 熱い!
力が抑えきれない? このままじゃ――)

「あなたは――
ダメ すぐ逃げて!
どうして? やめて!」

(クリア後)

クラウド:「大丈夫か?」
「どうして逃げなかったの?」
「(フッ) 苦しそうなあんたを放っては行けない
かといって 他に方法も見つからなかった」
「もしかして――
私の力を落ち着かせるために 戦ってくれたの?」
「悪かったな 先に言うべきだった
だが まさかここまでとはな
(フン) 素直に逃げるべきだったかもな」
「ありがとう」
「礼を言われる資格はない
あんたを救える確証はなかった
本当は どうすればいいのか迷っていた」
「でも 助けられたのは本当のことだから
その気持ちだけは伝えたかったの」
「迷いがあっても できることはあるか」
「どうかした?」
「いや ここに来る前のことを
思い出しただけだ――
それより あいつはどうした?
「(はっ)」
「もうひとりと一緒じゃなかったのか?」
「それが――」

「事情はわかった 手伝おう」
「いいの?」
「気づかせてくれた礼だ
迷う俺でも 誰かを救える―― とな」

△上

「誰がための力」 DESTINY ODYSSEY:6-4
希望は己を輝かせるだけではない
それに関わる全ての者を照らす
光となりうるのだから……

「しかし…… わからないな
どうしてケフカは あんたを狙っているんだ?」
「暴走する…… 破壊の化身」
「え?」
「あの人が言っていたの
力を抑えきれない 危険な存在…… だって
私…… 私がわからない」

「戦うのが…… 怖い
それでも 今は前に進まなきゃ」

(クリア後)

「どうした?」
「力が怖いの
助けに行きたいのに また力が
抑えられなくなったらって思うと」
「誰にでも迷いはある
がむしゃらに進める奴なんて ごく一部だ」
「それは?」
「フリオニールの『夢』だ」
「夢?」
「『のばらの咲く世界』
それが あいつの願いらしい
あいつは――
『夢があるから あきらめずに戦える』と言った
あの潔さは たまにうらやましくもなる」
「まっすぐで すてきだね
クラウドには どんな夢があるの?」
「俺はなくしたんだ」
「え?」
「そういうあんたはどうなんだ?」
「私も わからない
本当の意味での未来って
考えたこと なかった
先のことなんて ずっと
怖いだけのものだったから
けど 今は――
ねえ 同じ夢を見るのはどうかな」
「同じ?
のばらの咲く世界か?」
「うん でもそこにはのばらだけじゃない
きっと いろんな花が咲いているんだと思う
私の好きな花も あの子の好きな花も
夢の話を聞いて 私 初めて思ったの
恐れるだけじゃない未来を――
そんな世界を みんなと一緒に見てみたいって
この想いがあれば きっと
迷うことはあっても 心は揺るがないはず
あなたの好きな花だって きっとそこに――」
「そう簡単に叶う夢じゃない
だが 悪くないな」
「(うん)」
「そのためにも まず――」
「探しに行こう」

△上

「誰がための力」 DESTINY ODYSSEY:6-5
自分は何者なのか
いちばん強い気持ちに従うことで
その答えが見つかるのなら……

ゴルベーザ:「……悩んでいるようだな」
「ゴルベーザ……!」
ゴル「そなたの知ったことは 真実かもしれぬ
しかし…… そなたは少女を守ると誓ったではないか
決意のうえ 手にしたクリスタルの輝き……
それすらも まがい物なのか 少年よ?」
「僕は……」

(フィールド)

「大丈夫…… もう揺るがない」
「ああ……」
「みんなで一緒に描く 未来のために
そして……
夢を見続けたいと願う……
私自身のために!」

「……すべてを 取り戻してみせる」

ケフ「(ほわーっほほほ)
迎えに来たよ
おやおや 今度は別の獲物も一緒かい?」
「ケフカ! 彼をどこにやったの?」
ケフ「あんなクズなど 放っとけ
それよりどう? 僕と一緒に
破壊を楽しむ決心はついた?
「私は あなたとは違う」
ケフ「無理無理
偉そうなこと言っても どうせ力に溺れ
誰かを傷つけるに決まってる!」
「見つけたの 守りたい未来を
どんな力にのみこまれようと
私は もう何も見失わない!」
ケフ「(はい もう終わったの? はい)
フーン だったら――」
暗闇の雲:「すべてを破壊するまで!」

「クラウド!」
「さぁ どうする?
二人とも わしらの力に溺れるか? それとも――」
「乗り越えてやるさ 三人で!」

「無事だったのね」
「守るって言ったでしょ
さあ このしつこい相手は僕たちにまかせて!」
「うん 私は――」
ケフ「(あーあ) 力に溺れて心が壊れちゃえば
もっといいオモチャになれたのに」
「なんて人」
ケフ「(ふふふ) けど もういいよ
誰も壊せない臆病者は
僕に楽しく壊されちゃいな!」

ケフ「(ひゃーははは)
あ〜そびましょ!
踊れ! 踊れ!
(ファーハハハ)
狂宴の始まり〜」

「(ああっ!)」

ケフ「(うひっ) おしまい? ツマンナーイ」

「(はあっ) このままじゃ みんなの希望が――」
ケフ「そんなもん カスだ!」
「(あっ!)」
ケフ「ぼくちんがゼーンブ
ブッ壊してあげるよ!」
「あなただけは 許さない!」

(クリア後)

ケフ「(キー) おぼえてろよ」

「ティナ!」
「無事か」
「みんな よかった
(!)
これは――
私の 力?」
「言ったでしょ
ティナなら絶対 見つけられるって」

「ありがとう」
「だか 休んでる暇はない
他の連中は旅を続けているはずだ」
「うん 戦いはこれから――
みんな 行こう!」

(夢なんて ほんのささいなことでもいい
それだけで人は 強くなれる
その強さは また必ず――
新しい夢へと つながっていくから)

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力を持つが故、踏み出すことを恐れていた少女。

仲間との出会いは、未来への想いを生み
その想いは、クリスタルへと変わった。

志をともにする仲間のもとへ、三人は旅立つ。

新たな夢を目指し、
信じる未来をつないでいくために――

△上

Another Episode:
目的はただ一つ。
しかし、それに至る道筋は一つではない。
そして、胸に秘める想いもまた……

スコール:「俺の目的はひとつだ
それ以外の道をゆく気はない」
WoL:「切り開けるのか?
君ひとりの力で」