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-月影の騎士たち
「宿命の道をゆく仲間を見送り
騎士もまた 新たな絆を試される」
暗黒の力と聖なる力。
相反するふたつの力を持つ騎士、セシル。
仲間との絆を信じる彼は、
ティーダ、フリオニールとともに旅を続けていた。
だが、いまだクリスタルの手がかりはつかめていない。
ひとり思い悩むセシルの前に、
黒い影が現れようとしている。
影をまとった使者の言葉は、
セシルを導く希望となるのだろうか――
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セシル:(求め続ければ手に入ると思っていた
だがいまだに道は見えない
どうすれば クリスタルは手に入る?
こうしている間にも 世界は――)
ゴルベーザ:「思い悩んでいるようだな セシルよ」
セ「兄さん!」
ゴル「思考に囚われ 歩みを止めてしまうか
そんなことではクリスタルへの道は開かれぬ
永遠に夢幻(ゆめまぼろし)のまま終わる」
セ「夢だから 迷ってしまうんだ――」
ゴル「おまえたちはクリスタルをなんだと
思っているのだ?
クリスタルの輝き
それは目に映るものではない
ただ求めるだけでは
一筋の光明すら見い出せぬ」
セ「それは どういう――」
フリオニール:「セシル どこだ? 何をしてる?」
ゴル「クリスタルの秘密――
知りたくば 我が影を追うがよい」
フ「大丈夫か?
あいつ――
カオス側についているゴルベーザだろ?」
セ「僕の 兄さんでもある――」
フ「(あっ……) 兄弟だとしても 今は敵だ
何か言われたのか?」
セ「クリスタルの秘密を知っていると
知りたければ
追いかけてこいって――」
フ「セシル 言いにくいことなんだが――
気を許せば 闇にのまれる
敵の罠かもしれない」
セ「そんな――」
ティーダ:「二人とも 何やってるんッスか?」
フ「行こう
ティーダが待ちくたびれている
さっきの誘いは 忘れた方がいい
仲間が危険な目にあうのは
見たくない」
セ「僕は――」
フ「さあセシル 足を止めている暇はない
ともに先に進もう」
セ「ああ……」
△上
「月影の騎士たち」 DESTINY ODYSSEY:4-2
些細なことかもしれない
血族であるが故 綻びが迷いを生む
迷うことは悪なのだろうか……
皇帝:「いい見世物だったぞ ゴルベーザ
どうだ 計画どおり奴を導けそうか?」
ゴル「心配はいらない……
実の弟だ 信じこませるなどたやすい」
皇「フッ……貴様の働き……
期待しているぞ」
(フィールド)
セ「……クリスタルの秘密か」
テ「セシル どうした?
なんか元気ないッスよ」
セ「いや…… そんなことはないさ
急ごう クリスタルはちかいかもしれない」
セ「…………
……兄さん
信じてもいいのかい?」
フ「やっかいな敵が多いな
体力の方は平気か セシル?」
セ「ああ 僕は大丈夫
……ありがとう フリオニール」
△上
「月影の騎士たち」 DESTINY ODYSSEY:4-3
光と闇…… 秩序と混沌……
迷える騎士はクリスタルの輝きに
何を求めるのだろうか……
テ「何してるッスか?」
セ「兄さんの残した言葉を
考えていたんだ」
テ「さっき言ってた
『クリスタルの秘密』っての?」
セ「ああ――
僕に何を伝えたかったんだろうって――」
テ「だったら 会ってくればいいッス!」
セ「え?」
テ「ホントはセシル 後悔してんだろ?」
セ「うん 危険をおかしてまで来てくれた
兄さんの気持ちを無駄にしたようで――」
テ「かっこつけんなって!
ただ会いたい それで十分ッス!」
セ「でも フリオニールは僕を心配して――」
テ「フリオニール 関係なし!
セシルさえ無事に戻ってくれば問題なし!
あいつには うまく言っておくから
ばびゅーんと 行ってこいって!」
セ「いいのかい? 本当に?」
テ「仲間の言うことは聞くもんだろ!」
セ「ありがとう すぐに戻ってくるから
必ず約束するから!」
テ「家族か――
さぁ〜て どーやって説明すっかな――」
(フィールド)
セ「僕だけじゃない…… みんなのためにも
必ず何かをつかんで帰るから……!
さあ 兄さんのところへ急ごう!」
セ「この光は…… 召喚石?」
カーバンクル:「へっ いざというとき呼んでくれりゃあ
おれが光を貸してやるぜ!」
カ「紅石に宿る七色の輝き
それは 奇跡を起こす力!
いつでも呼んでね
ボクはキミを応援しているよ!」
セ「こんなところで……
つまづいている暇はないんだ」
ゴル「来たか セシル」
セ「どうして僕にクリスタルの秘密を?」
ゴル「そういうおまえは なぜここに来た?
きっと 同じだ
弟を思わぬ兄はいない」
ゴル「セシル―― 私はおまえに
クリスタルを手にする資格があるのか
見極めに来たのだ」
セ「資格だって――?」
ゴル「そうだ 私は――」
エクスデス:「(ファファファ)
闇に迷った輩が2匹
麗しい兄弟愛とやらか?
まさか相手方に
通じていたとはな ゴルベーザ
光に未練を残す軟弱者め!」
ゴル「おまえには関係あるまい」
エク「いいや 大いにある
裏切り者を断罪するのは
この私なのだからな!」
セ「兄さんには指一本ふれさせない!」
ゴル「セシル――」
セ「僕に 資格があるかはわからない
でも――
見ていてほしいんだ 僕の力を」
エク「裏切り者をかばうのか?
何も知らず 兄弟そろって愚かな――
その甘さもろとも 無に沈め!」
(クリア後)
セ「兄さんは――
おまえたちとは違う!」
エク「何も変わらぬさ
光も闇も根は同じ
秩序と混沌もまた――」
ゴル「なぜ クリスタルは現れぬ?」
セ「どうかした?」
ゴル「おまえは 私の力を借りず
ひとりでエクスデスに挑んだ
何事も ひとりで成し遂げられる力――
強い意志を持つ者にこそ
クリスタルは輝く
それが クリスタルの秘密なのだ
今のおまえなら
手に入れてもいいはずだが――」
セ「僕は兄さんのために
戦っただけだ――
ねえ 一緒に行かないかい?」
ゴル「なんだと――?」
セ「今の話 仲間に伝えたいんだ
みんなもクリスタルを求めているから
クリスタルがそろえば 戦いは終わる
そうすれば兄さんとも――」
ゴル「もうよい
私は おまえの影
闇に染まりきれず 光にも属せぬ存在」
セ「え――?」
ゴル「失望したぞ セシル
おまえには 未来永劫
クリスタルは輝かぬ」
セ「兄さん――?
どうして?」
△上
「月影の騎士たち」 DESTINY ODYSSEY:4-4
迷うことは悪ではない
失敗を糧とし希望は生まれる
その足を止めぬ限り……
セ「失望……か
兄さんの求めていることがわからない
僕はこれからどうすれば……」
セ「……敵が強くなってきた
みんなは 大丈夫だろうか」
(クリア後)
セ「みんなのところへ戻らなきゃ
でも――」
セ「兄さん 来てくれたんだ!」
ゴル「道を正すためにな」
セ「え――?」
ゴル「仲間に甘え すがりつく者が
強い意志を持てると思っているのか?
他人を頼る者に 真の輝きなど訪れはしない
誰もが己のつとめを
ひとりで成し遂げねばならんのだ」
セ「でも 困っている仲間を 放ってはおけない
僕はみんなとクリスタルを 探したいだけだ!」
ゴル「そうか ならば――」
セ「何を――?」
ゴル「わかっただろう 他者との絆など 夢幻にすぎぬ
壊れやすく 信じる価値もないということがな」
セ「兄さん」
ジェクト:「……ったく そのなりで落ちこんでんのか?
人を導くってのは そんな簡単なことじゃねえだろ」
ゴル「ジェクト…… 聞いていたのか?」
ジェ「まあ 相手が相手だと
いろいろ面倒くせえんだよな……」
ゴル「私は…… セシルの敵だ
だからこそもう二度と見捨てたくはない」
ジェ「捨てなきゃ……救えないものだって
あるかもしれねえぜ?」
ゴル「そういうそなたは……
何を捨てるつもりなのだ?」
△上
「月影の騎士たち」 DESTINY ODYSSEY:4-5
迷い戸惑い選ぶものが何か
その答えが確信に変わる時
騎士はその剣で己のありかたを証明する
コスモス:「迷いが消えない?」
セ「コスモス――」
セ「何も わからなくなってしまったんだ
僕は クリスタルはみんなで
手に入れるものだと思っていた
みんなで力を合わせて
勝ち取るものだと
でも 兄さん――
ゴルベーザは
他人に頼ってはいけないと
僕がやろうとしていることは
甘かったのかな
夢幻をつかむような
ことだったのかな――」
コ「私に答えを求めているの?」
セ「(え――?)」
コ「誰かを頼るだけの者に
クリスタルは輝かない
お兄さんの言っていることは 真実よ」
セ「そんな――」
コ「悲しい顔をしないで
大丈夫 あなたは確実に
クリスタルに 近づいている
気づいているはずよ
誰かの力に頼ること 誰かと力を合わせること
それは あなたにとって同じこと?
あなたなら きっと輝きにたどりつける
その資格がある」
セ「コスモス それって――」
コ「答えはあなたの中にある」
セ「僕は――
行かなければ」
(フィールド)
セ「行こう…… 僕を信じる人のところへ
答えはきっと……!」
セ「……わかったんだ
たとえ誰と戦うことになろうと僕は……」
ゴル「身をつつむ気配が変わった――
覚悟を決めたようだな」
セ「ああ 僕は 仲間とともに行く」
ゴル「なんだと?」
セ「兄さん―― 僕は誰かの力をあてにして
仲間と旅してるわけじゃない
もちろん みんなの存在は僕の力になる
励ましてくれたり 心配してくれたり――
だからこそ 今度は
僕がみんなの力になりたいんだ!
みんなとともにいるからこそ
生まれる力もある――
僕はそう信じてる だから!」
ゴル「どうやら おまえとは相容れぬようだ」
セ「兄さん――」
ゴル「おまえは騎士だ
その想い 貫きたくば――
剣で証明してみせよ 我が弟よ!」
セ「仲間がいるから 戦えるんだ
闇も光も 僕を導く力になる だから――
暗黒の力を
聖なる祈りに!
ここに示す!」
ゴル「甘いな セシル
裏切られ 絶望を知ってなお
他者がおまえの力になるのか?」
セ「揺るぎない想い この剣に誓う」
(クリア後)
ゴル「これが おまえの信じる力か――」
セ「クリスタル!
僕と兄さん 二人で見つけた輝き――」
ゴル「戯言はよせ
おまえ自身が見つけたものだ」
セ「けど――」
ゴル「これは兆しにすぎん
その輝き おまえはどこまで貫けるのだろうな?」
セ「兄さん――
どんな試練があろうと
みんなと力をあわせ 立ち向かってみせる」
セ(そして いつか兄さんとも一緒に――
絆は 僕を導く輝きだから)
セ「僕は 信じ続ける」
皇「……なるほど
奴を泳がせたかいがあったな」
エク「ああ ついに見つけた
あやつこそ 真に裏切りの心を持つ者よ……」
皇「内に秘めた光に気づくのも
時間の問題かもしれぬ
早めに手を打つか
神竜が動き出す前に 片をつけねば……」
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兄との戦いの果て、優しき騎士に輝きが訪れた。
彼の信じる、仲間との絆は、
これからどんな苦難があろうともけっして消え去ることはないだろう。
月光のごとく優しいクリスタルの光に、強く願う。
仲間とともに、この困難を乗り越えんことを。
そして、いつの日か、
兄とともに道を歩むことを――
△上
Another Episode:
分かれた道は再び集う。
希望を携えた、彼らの足取りは軽く
わずかながら、穏やかな時間が流れる……
テ「(決まってたなー 仲間のピンチに駆けつけるオレ)
スコールたちと合流したのは
そのあと ってわけ
これが オレの物語――」
スコール:「置いていくぞ」
クラウド:「物語は まだ続いている」
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