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-少年は誇りを胸に
「少年は少女と戦いに巻き込まれていく
力の本当の意味すら知らぬままに」
伝説の称号「オニオンナイト」
それが少年に与えられた呼び名だった。
幼い身で数多の敵を退けてきた彼の最大の武器は、
明晰な頭脳。
少年は己の才知にゆるぎない自信を抱いていた。
ゆっくりとかたちを失いつつある世界で、
少年は魔導の力を持つ少女ティナとともに
クリスタルを探す。
知恵に優れた自分なら、
未来につながる答えを出せると、自信に満ちて――
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オニオンナイト:「クリスタル―― 絶望を打ち破る力 か
いったいどんなものなんだろう」
ティナ:「ちゃんと見つけられるのかな
もし見つけても 世界を救えなかったら――」
オ「(……ふうー)
神様ってもったいぶった
言い方が好きだよね
コスモスの言葉が正しい証拠はないけど
間違ってるかどうかもわからない
とりあえず
今のところは信じて進むしかないよね
できることからやってみようよ」
テ「(あ…) うん そうだね」
オ「立ち止まっていても 答えは出ないんだ
まずは動かなきゃ
安心してよ
僕が必ず 正解を見つけるからさ」
(フィールド)
テ「見て…… 道が途中で隠れてる
あそこにいるのは敵? それとも……」
オ「敵かもしれないし 宝箱かもしれない
何が出るかわからない以上 慎重に進まないとね」
テ「ねえ…… もう先に進もう?」
オ「だって どこに宝箱が隠れてるか
わからないじゃないか……」
△上
「少年は誇りを胸に」 DESTINY ODYSSEY:3-2
手がかりは己の勘と運……
隠された罠を予見する知恵ある者なら
試練もまた遊戯へと昇華する
暗闇の雲:「……あんな小娘
本当に利用する価値があるのか?」
ケフカ:「間違いな〜い!
彼女の力は ホ・ン・モ・ノです!」
暗「……そこまで言うのなら信じよう
どの程度 役に立ってくれるか 見ものだな」
ケフ「お願いしますよ
以前のように 力を発揮してくれるとよいのですが」
暗「……以前?」
ケフ「いやいやいやいや 全然こっちの話ですよ〜
それじゃ いってらっしゃ〜い!」
(フィールド)
テ「ここも たくさん敵の気配がする
大丈夫 かな……?」
オ「戦う前に 相手をよく観察するんだ
どんなやつで 何を装備しているのか
剣が苦手なやつには 剣を
魔法が苦手なやつには 魔法を叩きこめばいいのさ」
テ「……戦うのが 好きなのね」
オ「そうじゃない!
……どこに宝箱があるか わからないじゃないか」
(クリア後)
テ「ちょっと待って」
オ「何?」
テ「感じる――
向こうの方から 強い何かを」
オ「もしかして クリスタル?」
テ「わからない 強い気配としか」
オ「行ってみよう」
テ「(うっ…)」
オ「どうしたの?」
テ「なんだか心がざわついて――
近づいてはいけない気がするの」
オ「ティナ クリスタルの手がかりが
見つかるかもしれないんだよ
大丈夫 敵がいたって
僕がなんとかするから」
テ「けど――」
オ「カオスの手先なんて
強い力で ただ壊すだけの連中さ
それにひきかえ 僕には――
ココ があるからね!
ほら 先へ進もう」
テ「(うん……)」
△上
「少年は誇りを胸に」 DESTINY ODYSSEY:3-3
過信と好奇心……
時に大きな過ちを生むということを
幼い少年は未だ知らない
テ「本当に…… 先に進むの?
なんだか敵も 強くなってきたみたい……」
オ「心配いらないよ ティナ
無闇に突っ込むと危険だけど
相手の動きをよく見れば 必ずスキが見つかる
イミテーションは 単純なやつばかりだからね
きちんと考えて戦えば怖くないさ」
テ「……強いのね
あなたの強さがうらやましい」
オ「これって もしかして……」
テ「あたたかい光を感じる……」
フェニックス:「心打ち砕けしとき…… 転生の炎で
すべてをつつみ お守りいたしましょう」
フ「どんな夢であれ 欲すれば
その願い 必ずや叶わん……
不滅なる魂の訪れ
転生の炎が 約束しましょう」
テ「……たくさん倒したね
もう 先に進んでもいいんじゃない?」
オ「戦いが好きなわけじゃないよ……
どこに宝箱があるか…… わからないからね」
オ「ティナ 気配は?」
テ「まだ先だけど
(!)
下がって!」
エクスデス:「コスモスの手の者か」
オ(なんだ この威圧感――
底知れない力 測りきれない!?)
エク「退屈しのぎに出向いてみれば
女子供のみとはな」
オ(まともにやったら勝ち目はない
ティナもいるし ここはひとまず――)
オ「み 見逃してくれませんか?」
エク「何?」
オ「僕らの力は あなたには及びません
戦っても 退屈しのぎにすらならないでしょう
なら 他に強い相手を見つけた方が
満足できるはずです
あなたが 弱い者をいたぶる卑怯者なら
話は別ですけど」
エク「無力な者を無に還しても まさに無意味か
(ファファファ)
よかろう 見逃してやろう」
オ「(はあ…)」
エク「だが 小僧
ひとつだけ教えてやる
勇なき者に クリスタルは手にする資格はないぞ」
オ・テ「(はあ…)」
オ「ちょろいもんだね
ま やりあうハメになっても
適当にあしらって逃げるつもりだったんだけど
僕 勝てない相手とは戦わない主義なんだ」
テ「でも いいのかな」
オ「いい―― って何が?」
テ「なんだか わざと逃がしてくれたみたい
戦いを避けたあなたに 助言めいたことまで」
オ「『勇なき者』って話のこと?
勝てない相手と戦うのは勇気じゃない
単に無謀で無駄なだけだよ」
テ「ごめんなさい でも――」
オ「だったら クリスタルを手に入れて証明するよ
僕が『勇なき者』じゃないって
行こう まだ気配は感じるんだよね?」
テ「(……) この先よ」
オ「よし!」
△上
「少年は誇りを胸に」 DESTINY ODYSSEY:3-4
知恵 知識は絶対のものではない
不幸とは常にそこにあるもの
自らの称号の意味が試される……
エク「……あれは 光に目覚めつつあるな
おまえの計画は無駄だ ケフカ」
ケフ「無駄だって? おまえは忘れたのか?
前の戦いであの娘が見せた すさまじい力!」
エク「……先の戦いでは 空虚な器にすぎなかった
しかし 今は違う
明らかな意志を持って行動していることに
おまえも気づいているだろう?」
ケフ「……だから どうした?」
エク「あきらめろ 彼女はもはやカオスの駒ではない
れっきとした コスモスの駒よ……」
ケフ「……あきらめるもんか
あの娘の力を引き出してやる……
そうすりゃ向かうところ敵なし! ぼくちんの天下だっ!」
(フィールド)
テ「さっきの人 どこへ行ったんだろう……
他のみんなは 大丈夫かな」
オ「みんな それぞれの方法で切り抜けるさ
剣を振るいたいやつは 振るえばいい
僕は頭を使って切り抜ける
クリスタルだって すぐに見つかるよ」
テ「でも……
なんだかイヤな予感がする……」
オ「気配は?
もうすぐなんだよね?」
テ「……うん」
オ「よし…… あと一息だ!」
テ「ここ―― この近くに強い気配を感じる」
オ「特に変わったものはないけど
ちょっと あたりを調べて――」
テ「(あっ ああ…っ うっ)」
オ「ティナ?」
テ「いやっ (ううっ) 声が頭に――!?
力が――!!」
オ「ティナ!
どうしたの ティナ!!」
オ「(うっ!)
ティナ! やめるんだ!
僕がわからないの!?」
オ「こうなったら 戦って止めるしか――!」
(クリア後)
テ「(く ううっ)」
オ「ティナ! ティナ!
僕だよ しっかりして!!」
テ「(うう うああああああ――!)」
オ「ティナ――!?」
オ「(うわあっ!)」
暗「(ファファファ)
邪魔をするでない
真の力が目覚めつつあるのだ」
オ「ティナに何をした!」
暗「(ファファ) 伝説のオニオンナイトか
たいそうな称号を名乗っても しょせん子供よ
誰のせいでこうなったか わからんのか」
オ「えっ?」
暗「小娘の苦しみを救うどころか
剣を振るって痛めつけた人でなしは誰だ?
嫌がる娘を強引に連れてきた
愚か者は―― どこの誰だ?」
オ「そ それはっ――」
暗「あの娘は悟っていたぞ 進んではならぬとな!
すべては 己の浅知恵を過信した
おまえ自身が招いたことよ!
己の無知と無力を呪え
おまえにはあの娘は救えぬわ!」
オ「ティナ――」
△上
「少年は誇りを胸に」 DESTINY ODYSSEY:3-5
自らを理解し 他者の存在を認めることで
少年は本来以上の輝きを取り戻す……
コスモス:「ティナの心の叫びが聞こえたの
彼女は暗闇の雲の
妖力で操られ 苦しんでいる」
オ「僕のせいだ」
コ「そう
あなたが 自らの力を過信したから」
オ「ティナを助ける方法
コスモスなら知ってるよね!?」
コ「暗闇の雲を倒すしかありません」
オ「あいつを?
でも僕は 勝てない相手とは
戦わない主義だし――
(はっ!) そうだ! クリスタル!
クリスタルがあれば
ティナを助けられるんじゃ――
世界を救える力があるんだ
あいつと戦わなくたって!
ねえ もったいぶらずに
クリスタルのありかを教えてよ!」
コ「戦いを避けるのも ひとつの道
誰も その決断を否定はしない
でも それはあなたの本当の心?」
オ「僕の 心――」
コ「クリスタルは 決意の先に輝くもの
あなたの心にある
一番大事な想いに従えば 手に入る
私に言えるのは それだけ」
ゴルベーザ:「哀れだな」
オ「(ひっ) カオスの手先――」
ゴル「ティナ といったか あの娘は
術が解けぬ限り 彼女は
暗闇の雲のしもべとして戦い続けるのだ
いずれ力尽き その命は戦場に散る」
オ「(くっ)」
ゴル「おまえの力では 暗闇の雲は倒せん
戦いを避けるのは 賢明な判断だ」
オ「(あ…)」
ゴル「どうした?
頭で考えた理屈に 従いたくないのか」
オ「僕は――」
ゴル「胸に問いかけ 決意するがいい」
オ「(……くっ!)」
(フィールド)
オ「ティナを助けなきゃ……
でも あいつと戦っても 勝てるかどうか……
……そうだ!
よしっ こうなったら……!」
オ「……感じる
あいつの 強い闇の気配……」
暗「(フン) 気を失ったか
もろすぎて使い物にならぬわ」
暗「ほほう 性懲りもなく――
再びわしに挑むつもりか?」
オ「勝てない相手とは 戦わない主義なんです
あなたたちに従います
だから ティナだけは助けてください」
暗「打ちのめされて学んだか
賢明な判断だ
よいぞ 我がしもべとなれ
小娘よりも役立ってみせろ」
オ「あんた 意外とお人よしだね
(ふっ!)
誰がカオスの仲間になんて!」
暗「(ファファ) こざかしい! わしに刃向うとは
愚かしいにも程があるわ!」
オ「わかったんだよ
頭で考えた理屈に縛られて
自分の心を裏切るなんて 馬鹿げてるってね!
僕は僕の力でティナを守る
いちばん大事な 僕の想いだ
勝てない相手と戦わない
この主義は変える気はないよ
でも 戦うぞって心で決めた
だから絶対あんたに勝つ!」
暗「(ふふふ) 屁理屈を!」
暗「あれほど傷つきながら――」
オ「(はっ!)」
暗「まだ救おう というのか?」
オ「そこだ! (あっ!)」
暗「心ひとつで 世界は変わらぬ
目覚めの後に待つのは いつでも――」
オ「(はっ!)」
暗「絶望だけ」
オ「(うわっ!)」
オ「あんたなんかに消せやしない
僕が見つけたのは――
みんなを守る力だ!」
暗「できるのか?」
オ「(くうっ)」
(クリア後)
暗「(ファファファ)
たかが子供と侮ったわ!」
オ「ティナ!
ティナ!!」
ゴル「気を失っているだけだ
急激に力を使いすぎたのだな」
オ「おまえ――!
ティナには指一本触れさせない!」
ゴル「よい決意だ
彼女を 守ってやれ」
オ「え?」
ゴル「彼女は強大な力を持つがゆえ
自分自身を恐れている
おまえが彼女の支えとなり
守ってやることだ」
オ「そ そんなこと言われなくたって!」
ゴル「そうだったな
おまえはもう 決意している
そして クリスタルは決意の先に輝く」
オ「これが クリスタル」
テ「(う……ううん) ここは?」
オ「ティナ (はあ……)
もう大丈夫だよ
僕がみてるから 少し休んで
僕が守るから
でも 今は少しだけ――」
ケフ「つまらん!!
あの娘の力を引き出せないとは……
ったく…… 役立たずのカスめ! カス以下の以下だ!
初めての奴には 荷が重かったか
やっぱり…… ぼくちんが出向くしかないみたいですね!」
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少年は、理知を信じて疑わなかった。
感情に流されず、冷静な判断に従って誤りを避けることが、
真実にたどりつく唯一の道だと考えていた。
しかし、少年は知る。
賢明とされる判断に、背を向けるべき瞬間も、
時にはあるということを。
胸の底に宿る心をみつめなおせば、
輝く力が生まれることを。
輝きは闇を退け、世界にしばしの静けさが戻った。
ひとときの安らぎにまどろむ二人を、
クリスタルは夜明けの光のように
優しくつつんでいた――
△上
Another Episode:
仲間を、自身を信じる彼らは進むことをやめない。
コスモスの願いを胸に、まっすぐに歩み続ける。
揺るがなければ、道のりはたやすいものだと信じ……
暗「(フン)」
ケフ「(うっひゃひゃ)」
暗「(ん?) なぜすぐに壊さない?
あのような もろい生き物」
ケフ「じっくり遊ぶんだよ
彼女は僕の――
大事なお友達なんだから (ぬっひゃひゃ)」
ケフ「(ふわーはっはっは!)」
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