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-明日へ続く道
「絆や夢とも違う ある想いが
彼の たったひとつの戦う理由だった」
どんな苦境にもひるまないエースの心を持った青年ティーダ。
天性の明るさで仲間を励まし、
クリスタルを求めて旅する彼は、
ある男の背中を追いかけていた。
ティーダの父、ジェクト――
今はカオスの軍勢に加わる敵である。
父の背中は、ティーダが
いつか越えねばならない大きな壁だった――
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ティーダ:「よーし! いっちょあがり!」
フリオニール:「どうにか片付いたな」
テ「楽勝ッスよ
カオスの奴らなんか
全員ふっ倒してやる!」
セシル:「頼りになるよ」
テ「あっ!
ゴルベーザだけは 別だからな
トドメさしたりしないからさ」
セ「(ふふっ) ――兄さんは強いよ」
フ「ティーダにも家族がいるんだよな?」
セ「ジェクト―― だったよね?」
テ「オヤジは関係ない」
セ「え?」
テ「あいつは真っ先にぶっ潰す!
泣いて謝ったって 許さない」
セ「たったひとりの肉親だろ?
きみは それで――」
テ「望むところッス!」
テ(ザワザワしていた――
オヤジと会える日のことを思うと――
立ち止まってなんかいられなかったんだ)
(フィールド)
テ「さあて ガンガンいくッスよ!」
フ「冷静になれ ティーダ
道が分かれている…… どうするセシル?」
セ「DPを気にするか 宝箱を回収するか
決めてから進んだ方がよさそうだね」
テ「そんなの関係なし!
とにかく前に進むッス!」
テ「よーし! 次いくッス!」
フ「まったく……
元気だけはあり余ってるな」
セ「きっと…… それが一番大事なことだよ」
△上
「明日へ続く道」 DESTINY ODYSSEY:10-2
身近な存在であるほど
大切であればあるほど……
その壁は大きく立ちふさがる
皇帝:「コスモスに『完全なる死』を与えれば
輪廻は断たれ 世界は我々のものとなる……」
ジェクト:「そのときは本当に
元の世界に 戻れんのか?」
皇「すべては 我々の意のままだ……」
ジェ「あいつと…… 一緒にか?」
皇「ああ…… 約束しよう」
テ「敵はまだまだいるな!
次もガンガンいくッスよ!」
セ「ティーダ…… きみは強いな
迷いがない」
テ「え?」
セ「僕は兄さんのことが……
……いや なんでもない 先を急ごう」
テ「……そんなに気になるなら
会いにいけばいいのにな」
テ「ホントは セシルさ……」
セ「……!
いいのかい 本当に?」
テ「ああ 仲間の言うことは聞くもんだろ」
セ「ありがとう……」
△上
「明日へ続く道」 DESTINY ODYSSEY:10-3
絆を力とする姉妹達……
その力は戦士にとって
新たな勇気のありかたを形作るだろう
フ「セシルはどうした?
どこへ行ったんだ?」
テ「えっと――」
テ(怒られるんじゃないかって
ビクビクしてた
セシルにパーティを離れるよう
勧めたのはオレだったから
あの手この手で言い訳してみたり
笑ってごまかしてみたり――
オレ こういうの得意なんだ)
フ「つまり ゴルベーザに
会いに行かせたんだな」
テ「――そうとも言うッス
セシルの奴 ゴルベーザの
ことを気にしてたろ
抱えこんでウダウダするより――
会って話して 答え出した方が
スッキリできると思ってさ
やっぱ――
まずかったッスか?」
フ「まあ仕方ないか」
テ「(ふー)」
フ「おまえは 平気なのか?
敵方に身内がいるのは同じだろう?」
テ「ぜんぜん 関係なし!」
フ「なぜだ? 父親だろう?」
テ「だいっキライだからな
いつだって偉そうで
オレをガキ扱いして――
絶対叩きのめしてやるって
ずっと思ってた
だから 望むところッス!」
フ「そうか それなら――」
テ「出発ッス」
(フィールド)
フ「敵が多いな……
ティーダ 手分けして戦おう」
テ「うぃッス! じゃ後で落ちあおうな!」
フ「ああ この先で集合だ
張り切りすぎて 力を使い果たすなよ」
テ「もう一息ってところか
フリオニール 先に着いてんのかな?」
テ「なんのボールだ これ?」
メーガス三姉妹:「お初にお目にかかる!
私たちはメーガス三姉妹のドグ!
同じくマグ! 私はラグ! 以後お見知りおきを!」
メ「お初にお目にかかる!
それとも……お初じゃない?
我らの実力…… 存分に発揮しましょうぞ!」
テ「よっし!
こっちは片付いたぞ!
あれ?
フリオニール?
お〜い
のばら〜 出てこ〜い!
――はぐれた?」
ジェ「これはこれは ジェクトさんちの
おぼっちゃまではありませんか」
テ「オヤジっ――!」
ジェ「どうした? せっかく会えたんだ
かかってこいよ
それとも もうビビっちまったのか?」
テ「ビビってなんか!」
皇「――待て」
ジェ「チッ――
皇帝陛下のおでましか」
皇「貴様の息子は憎しみだけで
戦おうとしている
それではわれわれの計画が
意味をなさない」
ジェ「ったく めんどくせぇな」
テ「なにゴチャゴチャ言ってんだ!」
ジェ「(はーあ) 勝負はおあずけだとよ
またにしようや」
テ「待てって! 逃げんのかよ!」
皇「父が憎いか?」
テ「どけよっ!」
皇「ならばその想い
私にぶつけるがいい」
(クリア後)
皇「憎しみだけで
クリスタルは手に入らん
諸君の祈りが世界に
届くことはない」
テ「なんだよ それ!
わかんねえよ!」
皇「(ふはははははは)」
テ(逃げられたからとか――
そんなのは問題じゃない
オレが 一番腹が立ったのは――)
テ「人の言いなりなんて――
あんたらしくねえっつうの」
△上
「明日へ続く道」 DESTINY ODYSSEY:10-4
望みが叶うなら迷うことなどない
その望みが本物であれば……
ゴルベーザ:「捨てきれぬものがあるようだな
ジェクト……」
ジェ「……なんつーかスッキリしねえんだ
こんなんでホントに元の世界に戻れるのか?」
ゴル「戻れたとして…… それで満足か?
自分の気持ちを裏切ってまで
そなたは あの男の言葉を信じるのか?」
ジェ「チッ……オレは……」
テ「フリオニール! 大丈夫か?」
フ「――なるほど さすがは親子だ
よく似ている」
テ「オヤジか?
あいつ ここにいたのか?」
フ「ついさっきまでな
剣を交えたが 見逃してやったよ
ジェクトを叩きのめすのは
おまえの役目だろ
さあ ケリをつけに行こうぜ!」
テ「――ああ」
フ「どうした?」
テ「ほら 金ピカの―― 皇帝サマ?
あいつが言っていたんだ
『憎しみだけでは クリスタルは手に入らない』
――どういう意味なんだろう?」
フ「奴の言葉は 人を惑わすだけの道具だ
おまえは自分の気持ちに
素直になればいい
父親と 決着をつけたいんだろう?」
テ「――もちろんッス」
フ「じゃあ 迷うことはない
ジェクトは この先にいる!」
テ(迷ったわけじゃない
だけど 何かが引っかかって――
スッキリしなくて
オレは無性に叫びたかった)
テ「わぁ―――!」
テ(やっとオヤジと戦えるのに――
なんでモヤモヤするんだろうな)
(フィールド)
フ「ティーダ 今は目の前の敵に集中しろ
召喚石を持った敵がいる 気をつけるんだ」
テ「……わかったッス」
フ「やるじゃないか ティーダ!」
テ「……ん ああ」
△上
「明日へ続く道」 DESTINY ODYSSEY:10-5
無限の可能性……
証明することの難しさ
それを知ることがエースとなる資格
フ「いたぞ!」
テ「――なんか モメてる?」
ジェ「わかったんだよ
チマチマやるのは オレの性に
あわねえってな!」
皇「そんなくだらん理由で
策を無にする気か?」
テ「オヤジ!」
皇「――もう 貴様は当てにせん
望みどおり 息子と戦うがいい!」
ジェ「さて これでジャマ者は
いなくなったぜ」
テ「あんた――
ケガ してるだろ」
ジェ「こんなもん かゆくもねえ
おまえなんか ひとひねりだ
このオレ様を 倒しに
きたんじゃないのか ええ?」
テ「ああ そうだよ!
そうだけど――」
ジェ「ああん?」
テ「こんなの――
なんか 違うっつの!」
ジェ「――ビビリやかって
ウダウダしてっと 手に入るもんも
手に入んねえぜ」
フ「やはり肉親とは戦いづらいな」
テ「そうじゃくてさ
戦ってブッ倒すって気持ちは
ずっと変わってない
でも今のオヤジに勝っても――
なんか違うッスよ
オレが勝ちたいのは――」
テ「フリオニール
悪いけど ひとりで
行かせてほしいッス」
フ「なに?」
テ「オレひとりで決着をつけたいんだ」
フ「(はあ) みんな勝手だな――
持っていけ
とっておきのポーションだ
使い方 間違えるなよ」
テ「ありがとな フリオニール
勝手で悪いけどさ――
これがオレの物語だ」
(フィールド)
テ「ようやくわかった……
あんたと戦いたかった理由が
待ってろよ…… オヤジ!」
テ「さあ……
もう少しでゴールだ」
ジェ「よう―― 覚悟は決まったのか?」
テ「決まったよ」
ジェ「どういうつもりだ?
お情けのつもりか?」
テ「スッキリしないんだ
弱ったあんたを倒したって――
わがままで ろくでなしで
自分勝手で!
だけど――
誰にも負けない
世界でいっちばん強い――
オレが勝ちたいのは
そんなあんたなんだ!」
テ「(フン) ――ひょろひょろのガキが
いっちょ前に
後悔すんじゃねえぞ?」
テ「後悔したくないから
戦うんだろ」
ジェ「いっちょやるか!」
テ「やられろよ!」
ジェ「ほう?」
テ「まだまだ」
ジェ「だったら――
(おりゃあ!)」
ジェ「手加減なしだと これかよ
ま オレに勝てる奴は
いないってことだ
おまえはガキだからな――
無限の可能性
ってやつに賭ければいい
明日には 立ち上がれるだろ」
テ「逃げんなよ
終わっちゃいない
あんたを越えなきゃ――
明日なんて来ないんだ!」
ジェ「ったく しつこいね
誰に似たんだ!」
テ「決まってんだろ!」
(クリア後)
ジェ「――染みたぜ」
テ「オヤジ!
なんだよ
もう消えんのかよ――」
ジェ「まあ な」
テ「――だいっキライだ
あんたがキライで――
いなくなればいいって
そう思ってた
けど 本当は
ただ強くなったって――
認めて――
あんたに
言ってほしかっただけで――」
ジェ「っとに いつまでたっても
ガキのまんまだな」
テ「――仕方ないだろ
あんたの 息子なんだから」
ジェ「――言いやがる
おい 泣き虫――
強くなったな」
テ「あ――」
テ「――これ
もらったからな」
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父との別れとひきかえに、彼はクリスタルを手にした。
それは父も認めた、たしかな強さの証だったのかもしれない。
手にした輝きを握りしめ、
憎しみの裏に隠していた本当の想いを胸に、
彼は、先を急ぐ。
沈んでいく夕日と、父の背中――
ずっと追い続けていた、遠い昔の夢を思い出しながら――
△上
Another Episode:
肉親でありながら、別々の道を歩む者……
彼らの道は、交わることはないのだろうか。
ゴ「セシル――」
セ「見ていてほしいんだ 僕の力を」
エクスデス:「(ファファファ)
裏切り者をかばうのか?
その甘さもろとも 無に沈め!」
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